年間第27主日B年 (マコ10,2-16)

「神が結び合わせてくださったものを、人は離してはならない。」マコ10,9

十数年前に台湾にいた時に、昔の中国では、「三位一体」のことを「三私一愛」というように書いたという話を聞きました。この表現は非常に気に入りました。なぜかと言うとこの表現は、三位一体の神の神秘の一番重要なところを表していると思ったからです。御父と御子と聖霊という三位(三つのペルソナ)は、互いに完全に愛しておられる、つまり互いに与え合い、互いに受け入れ合うために完全に一つの愛として、一体となっているわけです。

三位一体の神秘は、私たちに愛について大事なことを教えています。つまり、愛は二つ以上のものたちが一体になるほど、強くて堅い絆であるということなのです。神にかたどって、神の似姿として創造された私たちは、三位一体の愛の交わりにあずかるように招かれています。実は、この招きというのは、愛によって神と一つになるための招待なのです。これは不思議なことでありながら、これこそ良いお知らせ、福音なのです。漢字で遊んでみるならば、イエスが宣べ伝えた神の国のことを、「唯一神無数人一愛」(唯一の神が、無数の人々と、一つの愛として一体になる)というように表すことができるのではないかと思います。

イエスが結婚の誓約、つまり、愛の誓約によって一体となった夫婦の一致を、誰よりも大切にしているのは、この一致は地上の問題、つまり、ただ一時的なことではなく、永遠に繋がるものであるからです。言い換えれば、いろいろな問題や困難を乗り越えながら、力を合わせて完全な一致を目指す夫婦の生活は、最終的に神との一致への一番普遍的で、神ご自身が定めた道であるからです。私たちを唯一の神との一致に導くために人間になり、酷い受難を受け、ご自分の命をささげてくださったイエスが、神との一致への道から誰にも逸れて欲しくないと思っておられるというのは、不思議ではないでしょう。

 

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